
建設業界では、人手不足が長く課題とされる一方で、「採用に何から取り組めばいいのかわからない」「媒体や紹介会社に費用をかけても、思うような成果につながらない」と悩む企業も少なくありません。
そうした中で、建設業に特化した採用支援を行い、全国の企業と向き合っているのが株式会社風土テックです。今回は、代表の柴田亮太氏に、これまでの歩み、建設業の採用にかける思い、そして今後の展望について伺いました。
経営者を志した原点は、学生時代の“リーダー経験”
――本日はよろしくお願いいたします。まずは、これまでのご経歴からお聞かせください。
柴田氏:
よろしくお願いします。学生時代は、もう本当にスポーツばかりやっていました。空手と野球ですね。大分県で育って、18歳で福岡の大学へ進学しました。
大学では自分で野球サークルを立ち上げて、50名ほどの会をまとめていました。その経験もあって、就職活動の時に「自分はリーダー的な立場のほうが居心地がいいな」と気づいたんです。一生、誰かに使われる側のポジションでいるのは違うなと思って、将来的には経営者になるんだろうなと自然に考えるようになりました。
そんな中で出会ったのが、リフォーム会社が経営している採用コンサルのベンチャー企業でした。雰囲気もよく、「コンサルという仕事は面白そうだな」と感じて入社しました。
建設業に特化した採用支援サービス「建設採用組」

現在、株式会社風土テックが提供しているのが、建設業に特化した採用支援サービス「建設採用組」です。
このサービスの特徴は、単に求人媒体を掲載するだけではなく、企業の採用活動全体を支援する点にあります。SNS運用や採用ブランディング、求人媒体の活用、採用ページの改善、応募者対応の整備など、採用に関わるさまざまな施策を組み合わせながら企業をサポートしています。
建設業界では、採用担当が専任でいない企業も多く、「SNSが重要だと分かっていても運用まで手が回らない」「求人媒体に掲載しても応募が来ない」といった悩みを抱える会社も少なくありません。
風土テックでは、こうした企業に対して採用戦略の設計から実務の運用までを支援し、企業の採用活動を外部の採用チームのような立場で伴走しています。全国13都道府県の建設会社を支援してきた実績があり、地方企業を含め多くの採用成功事例を生み出しています。
建設業との接点は、最初の会社での7年間にあった
柴田氏:
その会社では、リフォーム会社さんや道具の会社さんなど、建設系のお客様が多かったんです。そこで7年間修行させてもらったことが、今の原点になっています。
気づけば建設業界のお客様が本当に多くなっていて、これまでさまざまな業種の採用支援に携わってきました。独立当初も建設業界のクライアントが多かったので、「これはもう特化していると言えるな」と。そこから建設業界に特化した採用支援を本格的に打ち出したのが、ここ2年ほどですね。
地方に若者が戻る“理由”を、建設業はつくれる

柴田氏:
都心ではあまり意識されないかもしれませんが、地方において“地元に戻る手段”って、実は就職がすごく大きいと思うんです。
僕自身、大分に戻ることを考えた時、「じゃあ何の仕事をするのか」という話になるわけです。普通の社会人の方ならなおさらで、地方は働ける業種が限られている。建設業、医療、福祉、公務員……大きくはそのあたりに絞られることも多いですよね。
その中で、地域に魅力的な建設会社があると、「あの会社で働きたいから地元に戻ろう」と思える理由になる。逆に、そういう受け皿がなければ、地域に戻る理由自体が弱くなってしまうと思うんです。
実際に、長崎県の対馬で4年間採用支援をしている水道工事会社さんでは、直近半年で20代前半の若手を5名ほど採用できています。みんな一度島の外に出ているんですが、「戻って働く場所」としてその会社を選んでくれているんです。
採用支援というと“人を補充すること”に見えがちですが、僕はその会社や地域を盛り上げていく大きな力になれると思っています。13年間この仕事をしてきて、そこは強く実感しています。
「採用力」がつかなければ、ずっと外部にお金を払い続けることになる
――採用に対して、特にどのような課題感を持たれていますか。
柴田氏:
採用の手法って、本当にいろいろありますよね。求人媒体もあるし、人材紹介もある。でも、目の前の採用ができたとしても、会社自体に採用力がついていなければ、結局ずっと外部にお金を払い続けることになると思うんです。
これまでにも「前回は求人媒体に200万円払ったけど1人も来なかった」「その前も同じくらい払った」といった話をたくさん見てきました。でもそれって、かなり“賭け”に近い部分もあるじゃないですか。
もちろん求人媒体や人材紹介そのものを否定するわけではありません。実際に補充という意味では助かることもあります。ただ、今年4名採用するのに600万円かかったとして、来年また4名採用しようと思ったら、また600万円かかるわけです。
本当に投資すべきなのは、ホームページを整えること、従業員満足度を高めること、SNSを継続して発信すること、会社のファンを増やすこと。そうした“積み上がる採用力”だと思っています。
SNSも、媒体運用も、応募者対応も。全部を一人で担うのは難しい
柴田氏:
採用って、やろうと思えばやることが本当に多いんです。SNS運用、求人媒体の活用、ブログやnote、ホームページ整備、面接、応募者対応……。
これを全部できる人を社内で採用しようとすると、かなり難しいと思います。仮に全部できる方がいたとしても、それだけのスキルを持つ人なら相応の報酬が必要ですし、退職してしまったらその瞬間に止まってしまう。
だったら、採用力がつく仕組みづくりを、プロのチームに外部委託したほうが、成果も出やすいしリスクも低い。僕らはそこに価値があると思っています。
20社以上を支援し、半年で採用ゼロの企業は一社もない

――かなり手厚いご支援をされている印象です。
柴田氏:
ありがたいことに、今コンサルに入らせていただいている会社さんは20社ほどありますが、少なくとも半年で採用ゼロという会社は一社もありません。
なぜそこまでできるのかというと、徹底的に業界と現場を勉強しているからです。毎週のミーティングに加えて、撮影でも現地に入る。画面越しだけではなく、実際の現場や空気感まで理解することを大切にしています。
採用って、表面的なテクニックだけでうまくいくものではありません。現場のリアルを理解して、会社の魅力を“その会社らしく”伝えることが必要なんです。
再生数のためではなく、“採用資産”としてSNSを育てる

柴田氏:
最近手応えを感じているのがSNSです。ただ、僕らは「バズればいい」とは考えていません。大事なのは採用につながる資産性があるかどうかです。
たとえば、ある15名ほどの企業さんでは、半年で6名採用できました。経営者とのミーティング、動線設計、ホームページの改善、媒体運用と合わせて、SNSも立ち上げました。半年でフォロワーが約1,000人増え、動画の再生数も伸びています。
でも本当に重要なのは、再生数そのものではありません。求職者が面接前にSNSを見て、「この会社、雰囲気がいいな」と感じて応募してくれることなんです。
社内の様子や人間関係が、1分の動画で伝わる。それは会社にとって大きな資産になります。昔よくあったような、机越しに社長が話しているだけの長い動画よりも、今の求職者にとっては、もっとリアルで、もっと空気が伝わるもののほうが響くと思っています。
「手触り感」を失わないことが、風土テックのこだわり
――御社ならではの強み、こだわりはどこにありますか。
柴田氏:
一番は、バイタリティーと“手触り感”ですね。リアル感をすごく大事にしています。
他社さんを悪く言いたいわけではないですが、建設現場を理解しないまま、撮影だけして終わるようなSNS運用も少なくないと思います。実際、以前大切なお客様をご紹介した先で、オペレーションに問題が起きたことがありました。撮影をお客様任せにして、1か月撮影ができなかったのに、そのまま進んでしまう。これでは現場で忙しい建設会社さんにとって負担が大きすぎます。
だから僕らは、広島でも鹿児島でも熊本でも福岡でも、必要があれば撮影に行きます。任せてもらっている以上、「現場のリアルをどう伝えるか」まで責任を持ちたいんです。最低でも月1回は対面で会うようにしていますし、その積み重ねが成果につながると思っています。
採用支援会社だからこそ、自社採用の失敗からも逃げない
――これまでの中で、印象に残っている失敗はありますか。
柴田氏:
あります。うちも採用で2回失敗しています。これまでに2名の社員が社風に合わず退職しました。
やはり価値観のマッチングはすごく大事ですね。僕らは、お客様に本気で向き合って成果を出したいという思いが強い組織です。経験や知識があっても、そこに共感できない方は長く続かない。
もちろん、中小企業にとって採用の失敗はダメージが大きいです。でも、採用支援をしている会社だからこそ、自社採用のリアルを経験していないと、本当の意味で手触り感のある支援はできないと思っています。
採用支援をしているのに、自社では採用していない。そういう状態で「正社員採用しましょう」と言うのは、僕の中では違和感があるんです。だからこそ、自社でもしっかり採用に向き合っています。
「初めて仕事が孤独じゃなくなりました」その言葉が心に残っている
――この仕事をしていて、「報われた」と感じた瞬間はどんな時ですか。
柴田氏:
もちろん採用成功そのものもうれしいんですが、直近で特に印象に残っているのは、ある人事担当の方から「初めて仕事が孤独じゃなくなりました」と言ってもらえたことです。
採用担当の方って、社長から急に任されて、知識も十分でないまま結果を求められることが多いんですよね。うまくいかなければ責められるわけではないにしても、現場からのプレッシャーを感じたりして、すごく孤独になりやすい。
そこに僕らが伴走することで、「一緒にやってくれる存在がいる」と感じてもらえた。その言葉は本当にうれしかったですし、自分たちが大切にしたい価値もそこにあるんだと思いました。
育成はシンプル。「本人が納得した目標」に向かって、小さな階段を上れるか
――採用後の育成についてのお考えも教えてください。
柴田氏:
育成は、実はすごくシンプルだと思っています。本人が納得した目標を一緒に設定して、その目標に向かって小さな階段を一つずつ上れているかどうか。それに尽きると思います。
もし進んでいないなら、どうすれば進めるのかを一緒に考える。面談などを通じて、日々「目標に近づいている」という実感を持てるようにする。これがすごく大事です。
退職って、「自分はこの会社で何のために働いているんだろう」「必要とされているのかな」という感覚が見えなくなった時に起きやすいと思うんです。逆に、自分の成長が実感できていて、その先に自己実現や人生の豊かさがつながっていると感じられれば、人は辞めにくくなる。
建設会社さんでも、たとえば「半年で第二種電気工事士を取ろう」と目標を決めて、そのために週1回小テストをする、といった取り組みを一緒に設計しています。そうすると、若手も「ここまで成長させてくれた」と実感しやすい。こうした成功体験の積み重ねが、定着にもつながるんです。
目指すのは、“この業界で一番勉強している会社”であること

――会社として大切にしている考え方はありますか。
柴田氏:
ミッション・ビジョン・バリューはありますし、それが軸になっています。そのうえで大切にしているのは、「自分たちがこの業界で2番手以降だと思ってお客様と接するのは失礼だ」という考え方です。
実力そのものはすぐに一番になれないこともあるかもしれません。でも、準備や業界研究、その会社についての理解は、誰よりもやれるはずなんです。そこは一番を目指せる。
だから、建設業の採用において風土テックが一番だと、自信を持って接する。そのために、勉強し続けることを大切にしています。
今後は、自社でも建設業を経営してみたい
――最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
柴田氏:
建設業自体をやってみたいですね。自社で建設会社を立ち上げて運営していくことに興味があります。
というのも、僕らが本当の意味で建設業のお客様に手触り感を持って採用を語るには、自分たちでも建設業を経営してみる必要があると思うんです。「御社は採用コンサルの会社だからできるんでしょ」と言われた時に、実業として建設業を経営し、その中で採用成功のやり方を蓄積できれば、より強い支援ができるはずです。
そこまでできたら、今よりもっとお客様に貢献できるんじゃないかと思っています。
取材後記
今回のインタビューで印象的だったのは、柴田氏が採用を“人を埋めるための手段”としてではなく、“会社や地域の未来をつくるもの”として捉えていたことです。
SNS、ホームページ、媒体運用、応募者対応、育成設計。そうした一つひとつを単発の施策ではなく、企業の採用力として積み上げていく。その姿勢には、建設業界の採用を本気で変えたいという強い思いがにじんでいました。
採用に悩む建設会社にとって、風土テックの取り組みは単なる外部支援にとどまらず、“伴走者”として大きな力になるはずです。
企業情報

株式会社風土テック
代表者:柴田 亮太
URL:https://fudo-tech.co.jp/
